子宮内膜ポリープ切除用の新しい内視鏡手術システム(TruClear)を導入しました
当院では子宮ファイバースコープによる子宮内腔異常(ポリープ、筋腫、慢性子宮内膜炎、子宮奇形など)の検出に力を入れており、年間600前後の検査を行なっています。着床に大きな影響を与える子宮内膜ポリープについてはこれまで提携している病院へ紹介して、子宮内全面掻爬術でポリープ除去を実施していただいておりましたが、掻爬による正常子宮内膜への悪影響も長年気掛かりではありました。流産の手術も数年前までは子宮内全面掻爬が主流で、流産手術後に子宮内膜が厚くならないという問題が生じることにも遭遇して治療に苦慮していました。驚くことについ4-5年前までは世界の先進国の中で流産に対して子宮内全面掻爬を行なっているのは日本だけだったのです。5年ほど前に当院院長がMVAという吸引手術器具の勉強会に参加して、そこから鹿児島県の産婦人科施設への導入を勧め、拡まって行き、現在では流産に対してはMVAによる吸引手術がようやく主流となっています。そんな中、子宮内膜ポリープに対しても子宮鏡下に子宮鏡のスコープに先端がシェーバータイプの器具を挿入し、子宮内膜を傷付けずにポリープのみを切除、吸引する手術システムが開発されました。今までの子宮鏡での子宮内膜ポリープ手術では子宮鏡のスコープ内に先端がループ状になった電極を挿入し、通電して熱源によって組織を切除するという方式でしたが、この方法だと熱源を使用することにより正常子宮内膜部分にもダメージを与えるリスクがあり、また切除した組織を一回一回スコープ(子宮鏡)を子宮から抜いて排除するという面倒な手間が必要でした。TruClearTMという新しいシステムは昨年に発売されたもので、昨年からとても気になっていたところでしたが、子宮内膜ポリープへの有用性が非常に大きいと考え、この7月に当院でも導入し、臨床使用を開始しています。
子宮内膜へ優しくダメージを一切与えない手術方法で、術後もすぐに通常生活が可能で妊娠へ向けての治療もすぐ開始できます。今後、流産後の組織遺残のケースも含めどんどん活用して行く予定です。