2021年ARTデータブック
こんにちは、培養士のS原です。
先日、日本産科婦人科学会より「2021年ARTデータブック」が公開されました。
2年前の2021年なの?と思うかもしれませんが、ART(生殖補助医療)を行うにあたり、1症例ずつ学会へ詳細を登録する必要がありまして、出産時の詳細も含まれます。なのでその年の症例登録の〆切が大体翌年の11月になりますのでそこから学会がデータを集計、まとめに入るため公表がだいたい2年後になるのです🤔
というわけで、公開された情報を少しだけご紹介していきます!
まずは出生児数。FETというのは凍結融解胚移植、ICSIは顕微授精、IVFは体外受精(媒精)になります。ARTで出生した赤ちゃんは年々増えてきていて、2021年は過去最多で69797人でした。
全国の出生数自体は減っていて、厚生労働省の統計では2021年の総出生数は811622人なので計算すると11.6人に1人がARTで生まれたお子さんということになります。なので35人クラスだと大体3人ぐらいいるといった感じです😲
ちょっと前までは15人に1人ぐらいだったのですが全体の出生率の低下とART実施数の増加から年々割合が大きくなっています。今後も増えていくのではないかと思われます🤔
次に治療周期数の年齢分布です。治療周期は39~42歳あたりが最多ですが、妊娠・生産周期は35~38歳あたりがピークになります。なぜこういったズレが生じてしまうのかというと、どうしても年齢が上がるにつれ妊娠しにくく流産しやすくなってくるのが原因です。
流産率が妊娠率を上回るのがだいたい40歳です。上記グラフで青の妊娠率は総ETなので胚移植を行った周期のなかで妊娠した割合、赤の妊娠率は総治療なので胚移植できなかった周期も含めたすべてのART治療周期のなかで妊娠した割合です。
年齢が上がるとどうしても流産率が高くなってしまうので、生産率としては低下してしまうのです😟
細かい数値は年々違うこともありますが、この傾向は以前より変わることはありません。
以上2021年ARTデータブックの軽~い紹介と解説でした!
その他色々なデータも載っていますので興味のある方は見てみてください😊数字や文字がめちゃくちゃ細かかったりしますが…😅