正しい情報を正しく取得〜後悔しないために

不妊治療を進めて行く上で、患者さんと医師や医療スタッフとの情報共有は極めて重要になります。不妊治療は、患者さん一人ひとりの身体的・精神的状況に応じたオーダーメイドの治療が求められるため、治療方針を決定する際には、患者さん自身が自身の状態を正確に理解し、納得した上で選択を行うことが欠かせません。そのためには、患者さんが正しい情報を取得し、それを正しく理解することが必要です。
現在では、インターネットや書籍を通じて多くの情報が得られる一方で、必ずしもすべての情報が正確であるとは限りません。不正確な情報に基づいて誤解を生むことは、治療の進行に影響を及ぼす可能性があります。したがって、信頼性の高い情報源を選び、疑問点があれば医療者に積極的に質問し、自身の状態や治療の選択肢について理解を深めることが重要になります。
一方で、医師や医療スタッフも、専門的な内容を患者さんが理解しやすい形で説明する努力が求められます。難しい医学用語を分かりやすく伝えるとともに、患者さんの気持ちや意向を丁寧に聞き取り、信頼関係を築くことが大切です。この双方向のコミュニケーションが円滑に行われることで、患者さんが安心して治療に臨むことができ、最善の治療効果が期待できます。
不妊治療は身体的・精神的・経済的にとても負担の大きいプロセスですが、多くの選択肢やリスクが関わる中で、患者さんと医療従事者双方がそれぞれの正しい情報取得と相互理解を通じて、患者さんが自らの価値観や希望に基づいて自らの意思で治療の選択ができる環境を整えること(Shared decision making:SDM)が、治療の大きな満足度に繋がっていきます。