ART治療の中でも凍結融解胚移植が治療の中心を占めるようになってきていますが、子宮内腔の手術や操作、流産によってなかなか子宮内膜が十分な厚さにならず凍結融解胚移植が毎回キャンセルになる方が少なからずおられます。MWCではこういった方々に対しての新しい治療法を導入することになりました。

再生医療の一つにPRP（多血小板血漿）療法という方法があり、整形外科、美容外科領域で用いられています。局部へ注入して膝関節や皮膚、毛髪の再生を促進する治療法です。血小板の中には成長因子が多く含まれており、細胞の成長を促す物質や免疫に関わる物質を含むため、この治療法によって従来様々な薬剤を使用しても厚くならなかった子宮内膜が、胚移植に必要十分な厚さになり胚移植が可能になることが期待されます。このPRP療法は数年前から不妊治療領域でも試験的に用いられており、ある程度の効果があることもわかってきており、最近臨床応用され始めています。ただ、PRP療法は「再生医療法等安全性確保法」に基づき、厚労書へ認定申請手続きを行い厚労大臣からの認定を受けなければならず、この手続き代行に多額の費用が必要となり、手続きにも長期の時間を要するなど不便な点がありました。今回導入した、血小板由来因子濃縮物による治療法（PFC-FD療法）は患者さんご自身から採血した血液をセルソース株式会社再生医療センター（特定細胞加工物製造許可施設、厚生労働省認可）へ輸送して血小板由来因子のみを抽出・濃縮して凍結乾燥した後にクリニックへ返送して使用できるシステムです。細胞成分を除去するため複雑な手続きが不要となりました。凍結融解胚移植スケジュール中に2回、PFC-FDを溶解して子宮内に注入し、内膜が十分な厚さになったことを確認した後に融解胚移植を実施します。

新しい治療法ですので治療の効果など様子を見ながら対応して行きます。費用に関しては1回の作成、治療に15万円の料金が必要となります。また、感染症や合併症などでこの治療法の適応が禁忌になる方もおられます。詳細はクリニック来院時にお尋ねください。