精液検査のキホン その1
こんにちは、培養士のS原です。
近頃ブログでなかなか「ためになる記事」が書けてないなあと思っていたのですが、今回はお届けできそうです!(笑)
今回は培養士の仕事の中でも基本中の基本、精液検査についてです。
採取した精液が入ったカップを受付へ渡して、しばらくしたら検査結果が出て先生から説明を受ける…患者さんはこんな感じですよね。実際どのように検査をしているのか気になる方もいるのではないでしょうか🤔
まず、検査に使うマクラ―カウントチャンバーというものを用意します。
真ん中のガラスの丸い部分に、精液をスポイトでほんの少量のせます。そして右のカバーガラスを被せます。
このマクラ―カウントチャンバー、カバーの真ん中の部分に1mmを10等分×1mmを10等分の、合計100マスの線が入ってます。肉眼ではなんとなーく四角いのが見えるだけでマス目はさすがに見えません😅
顕微鏡で見るとマス目がしっかりわかります。1マスの1辺が1mmの10分の1になります。
顕微鏡でさらに拡大すると…
マス目の中で粒みたいに見えるのが精子です。尻尾がついていて動いています。普段使う顕微鏡にはカメラがついてないので他の顕微鏡で撮影しているため、この写真だとちょっとはっきり見えないのですが😅
このマクラ―カウントチャンバーは、100マス中の精子の数を10の五乗倍(10万倍)すると1mm中の精子濃度となるように設計されています。10マスだと10の6乗倍(100万倍)ですね。
WHOの精液検査の基準値は1500万/ml以上ですので、10マスに15個精子があれば大体基準値ぐらいということになります。
当院では、10マス中で動いている運動精子、動いていない不動精子をそれぞれカウントして合計値で精子濃度、運動精子の割合で運動率を出しています。ばらつきを考慮して3か所の10マスをカウントして平均値で算出しています。
10マスで10個以下(1マスに1個程度)ぐらいしか精子がいない場合は100マス全てを3回カウントします。
カウントはカウンターを使います。交通量調査や出水のツルの数を数えるときにカチカチしてるあれです(笑)
写真ぐらいの数ならカウントしやすいのですが、1マスに20個ぐらいいるものすごい濃いときは指が疲れます😂
さらに、実際は精子が動いてますので、「今だ!!」って時にカウントしないと泳いでいっちゃうんです😅意外と動体視力が鍛えられるという…
実際どんな感じか、ちょっと動画をとりました。
これはちょっと速度がゆっくりなので数えやすいですが、素早い精子はすぐいなくなってしまいます(笑)
こんな感じで培養士は精液検査をしているのでした!そしてさらに当院では新兵器を導入していて今はこのカウント方法とその機器を使った検査方法の2種類があります。
新兵器についてはまた次回、「その2」でご紹介したいと思います😉